【小幡績】トランプ演説に敗れる。「解釈」は事実より強し
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注目のコメント
ひねくれ投資日記というタイトルはズバリですね。
"買いたいトレーダーや投資家が多ければ、彼らは買うのであり、買いに都合のよい解釈を選ぶだけなのだ。"
これその通りなんですが、なかなかポジションがあると言えません。たまに業績などのファクトを重視しすぎる人がいますけど、決定的に向き合い方を変えたほうがいいと思いますね。
まあ、ファクトが事前に分かってたら苦労しませんが、それはそもそもインサイダーですからね。『サピエンス全史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリが言う「虚構fiction」とは、言葉を代えれば「合意現実consensus reality」である。我々はお互いに見たいと思っている現実を見ている。そこに厳密な意味での客観性はない。現実と呼ばれるものは、お互いの主観の集積物であるといえる。
もし我々が目の前で起きていることを、ありのままに受容し、いっさいの解釈を加えることがなければ、それを「事実fact」と呼ぶことは可能だろう。しかし、その受容の仕方が部分的であったとしたら、どうだろう。「群盲象をなでる」の格言は、我々が「虚構」を必要とし、「合意現実」を生きる理由を端的に語っている。
さて株式市場である。「お金」という人類最大の「虚構」を扱い、しかも「お金」の現在価値ではなく未来価値を予測し合う株式市場は、人間の思惑(虚構を創り虚構を信じようとする性向)を見事に生かしている。
ライフスタイル会社の上場後のIRで、数値とビジネスモデルの基づく論理実証的な説明がなかなか通用しなかった。ファッションという嗜好性と泡沫性を前提とした商売を理解するには(=合意現実を形成するには)、嗜好やセンスを共有する必要がある。そうでないと数値もビジネスモデルも、ほんものに感じられない。
そこでアプローチを変え、魅力的なブランド世界を広める「物語story」を発信するように切り替えた。物語は、「未来の現実」を具体的に語る。物語なら許される象徴性や喩えをおりまぜ、わかりやすく説得力をもった世界を描くと、株式市場は以前より明らかに好感した。「虚構fiction, story」を活用することで、「いっしょに実現したい未来」が出現した。小幡績さんの連載第二回です。
先週、トランプ大統領の演説がマーケットでも注目を集めました。このことを材料としたマーケットの動きについて、「なるほど!」という見方が満載です。