ECB議事要旨「安定的な政策運営必要」、緩和縮小には消極姿勢
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今回の議事要旨のポイントは次の三点です。
第一に内需を中心とした景気回復により自信を深めたことです。「これまではユーロ圏が世界経済の潜在的なリスクの源泉と思われてきたが、今やショックへの頑健性を示している」という象徴的な記述も見られます
第二に、それでも金融緩和の継続に対するコミットメントを強調するコミュニケーションを行うことで合意したことです。これは、基調的インフレの回復は見られないという判断とともに、市場が先読みして長期金利や為替が動いてしまうことを避けるためと思われます
第三に、12月に決めた国債買い入れの対象拡大のうち、利回りの下限の扱いについて、運営方針に一応のコンセンサスを作ったことです。出資比率による各国の割り振りの遵守を優先しつつ、その為に必要な限りで預金ファシリティの利回り以下の国債の買い入れを行うというものです
最後の点は技術的に見えますが、記事にあるように将来の原則見直しの可能性も示唆されたほか、仮に政治イベントなどによってユーロ圏内でのflight to quality が生じた場合も、ドイツの長期債を市場と取り合う事態を回避するといった点で、政策的な含意も少なくありませんユーロ圏は経済政策を行う上での構造的な欠陥を一旦横に置くとしても、目先はECBが金融緩和しつつ圏内最大国であるドイツが大規模な財政出動することが景気回復への近道といえるでしょうが、ドイツが財政を緩めることを忌避する以上は少なくともECBが緩和継続するのがぎりぎりの線といったところでしょう。
現在のユーロ圏には、ギリシャからドイツまで地域も経済構造もバラバラな国が参加しており、明らかに最適通貨圏を超えています。まだまだ金融緩和が必要なギリシャと、今や財政規律維持が国是となっているようなドイツが一緒になってやっていくことに明らかに無理が生じてきています。