トランプ新政権 TPP離脱の方針を表明
コメント
注目のコメント
TPPを離脱しメキシコ、カナダが修正に応じなければ既に経済活動に組みこまれたNAFTAも離脱し2国間交渉でアメリカの利益を追求するという方向性は再確認できましたが、それがどういう道筋で米国の雇用と賃金、そして物価に影響を及ぼすのかといったビジョンは見えない演説とホームページの公表ですね・・・ 表現は悪いですが、ビジネスのトップ経営者として「米国株式会社」の事業と雇用を俯瞰したというより、取り敢えずはセールスマンとして売り込みを掛けたという印象のスタートです。
とはいえ我が国にとって実質的に唯一の貿易黒字の相手国で防衛問題にも影響する大国の大統領。しかも、米国から我が国への工業製品の輸入について我が国はすでに殆どの関税を撤廃していますが、我が国から米国への輸出については今でも貿易額の三分の一以上が米国側関税の対象になる状況の中で黒字の相手国。足元の状況に拘わらずTPPの多国間交渉の理念に沿って25年後にはお互い関税をゼロにしようと合意したものが、2国間交渉となれば、残り少ない工業品の関税はおろか、日本が関税を大幅に残している穀物や畜産物に大きな圧力が掛る可能性は高そうです。
原油、天然ガス、石炭といったエネルギーを輸入するため対中東・オセアニアで大きな貿易赤字を抱える我が国に取って、対米黒字の縮小が起きるとしたら影響は甚大。日本企業が米国に出て行って米国の関税や圧力をかわし、関税の低い日本に逆輸入する、なんていう動きにならないよう、農畜産物等を含めて我が国の貿易協定の在り方をどのように立て直すか考える必要性をあらためて感じます。知財面を整理しておけば、日本の著作権法等は既に前倒し改正され、保護期間は死後70年などに延長、非親告罪化も部分導入されている。ただし、「施行はTPP発効時」との規定だ。
つまり、著作権の期間延長はこれで再び、日本では流れたことになる。今後の焦点は、残った「死後70年」法を何らかの別ルートで発効させる動きが起きないかだが、元々米国要求によるTPPだけが延長の理由で、国内では異論が強かった。それは理屈が通るまい。
著作権を離れれば、TPPの頓挫を惜しむ意見もわかりつつ、ああいつものアメリカだったな、とも思う。自分が専門とするエンタメ・メディア領域の国際契約の相手としても、米国は常に今回のTPP/トランプ的な交渉コストの高さとちゃぶ台返しリスクを抱える相手だから。
今回顕在化したそのリスクから学びつつ、多面的なパートナー構築、そして情報ルールなど「国際協調ばかりにとらわれず日本独自でどんどん進める」戦略との使い分けを、更に本気で考える契機なのだろう。根底にあるのは、自由貿易によってもたらされる経済的なメリットよりも、アメリカ国民の雇用喪失のようなデメリットが多いこと。また、そのメリットもアメリカで税金を払う企業ではなく、タックスヘイブンを使ってアメリカでの納税を極端に抑える無国籍企業である、という点です。