【解説】「日本型雇用」がなくなる5つの理由
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安倍総理、加藤働き方改革大臣、世耕経産大臣が口を揃えて「日本型雇用」を否定する理由とは、何なのか──。5つの切り口で分析してみました。
そして驚きなのは、同一労働同一賃金も年功制の廃止も50年前の池田内閣時にすでに検討されていたことです。また、記事最後にスライドストーリーで日本型雇用の歴史についても改めて振り返っています。
日本企業の「メンバーシップ型」と言われる組織体制のルーツは第二次世界大戦時の「皇国の産業戦士」にあったのかなどと考えると、なかなか味わい深いと思います。
是非お読みくださいませ!日本型雇用慣行の現状の問題点を丁寧に描いた良記事です。
日本の「メンバーシップ制」は基本的に若者に優しいシステムと言えます。スキルがないことは採用の障害にならず、社内に教育システムを持っている。(もちろん、諸々の理由で現状若者に優しいとは言えないが)中高年の対立を煽る言説は強いが、世代間に格差があるのではなく、正社員という身分になれるかどうかに格差がある。
日本型雇用の大きな問題点は、その雇用制度と福祉が結びついてしまったことにあると思います。
年齢によって賃金が上がっていくので、子ともが大きくなっていくに従って給料も増えていく。だからこそ、高校、大学と費用が払えるようになるし、賃金が増えていく時期と子供に金がかかるようになる時期がうまく合致する時もあった。そしてその一時期のシステムがそれなりにうまくいってしまったからこそ、日本では子どもの負担は家計が賄うものという発想が強く、子ども手当制度や大学無償化などの発想がなかなか根付かない。(だがその家計というのも、社会福祉の代わりとして「不当に」多く制度上与えられてきたものにすぎない)
日本の場合は、政府がやることを「会社」がやってきたのだが、問題は「会社」という身分が限られたものになり、そこから漏れた人は社会保障からも漏れててしまうことにある。日本型の「メンバーシップ制」は、悪い言い方をすれば「身分制」であり、その枠組から外れた人は必要な福祉を受けることができなくなる。実際に、正社員の待遇は厚いが、その「身分」を獲得できなければ、結婚して子どもを育てるという「普通」とされることも非常に難しくなる点が問題。
処方箋などはありませんが、正社員の拘束性と責任の緩和が必要。残業や配転を企業に握られている正社員の悪い待遇こそが、比較的責任や拘束性の少ない非正規労働者との格差を正当化してる。出産を前提にした女性正社員の働き方を男女共通のデフォルトルールにするくらいがいいんじゃないですかね。いわゆる「日本型雇用」をめぐる論点がよく整理されてると思います
一方でこの手の議論でいつも疑問だが、なかなかそれを書いたものに巡り会えてないのは、いわゆる「日本型雇用」で雇われてる人って就労人口のうち何割いるのかな、ということ。いわゆるエリート層が就職する一部の大企業がそうなだけであって、人口の大部分の中小企業でもそうなのか、と。
もちろんエリート層の雇用流動化は重要なので取り組むべきテーマだが、トランプ現象の原因ともなった、エリート層のずれを表してるようでなりません
また、「日本型」という呼び名も、いかにも日本人の気質にあった古くからの伝統みたいなニュアンスになるのでやめた方がよくて「高度経済成長期型」と呼ぶようにした方が「変えなきゃ」というモチベーションにはつながりそう