データ主義の落とし穴。回避の方途を人文学に学ぶ
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Flierによるビジネス書要約。今回は、データをもとに議論する場で見落とされがちな「質的側面」の重要性を説く書物を紹介しています。
キーワードとなっている「センスメイキング」なる探索法は、ある種、哲学における「現象学」的なものの見方。「事象そのものへ」を趣旨とする現象学では、現象の背後にある「意味」の次元を重要視する(これを哲学で「背景的意味」とよぶ)。
いま、データ主義ともよぶべき、数値こそすべてとの見方が支配的だ。が、当たり前のことですが、人間は数値”のみ”によっては理解できない。数値が「線形的」であるのに対して、人間は「非線形的 non linear」な存在だからだ。
映画『アバウト・タイム』や『バタフライエフェクト』で描かれるが如く、人間の生は、ある変数が一つ加わるだけで、とてつもない変容を遂げてしまうことがある(butterfly effect)。
だからこそ、データによってのみ事象を理解する思考では汲み尽くせないものが、人間にはある。そこでこそ人文学の知が、意味を持つ。理科系的なもの、データ主義的なものに、「人間」が汲み尽くされないためにも。