なぜベーシックインカムが実現しないのか、その課題と障害
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「BIはむしろ人々に働く意欲を与える」というのは正しいと思います。
しかしそれは、あくまでも追加的な財政負担との見合いで判断されるべきこと。
そう考えると、改めて日本はBIという制度には不向きな国だと思うワン。
BI導入に積極的な国(スイス、フィンランド、カナダ)の危機意識は、「働かない(働けない)人が多く存在するがゆえに、その人たちの生活を支える社会保障(=公務員の数)まで嵩んでしまっている状況」への懸念です。
つまり、民間の就業者ではない人々(=失業者+公務員)が労働人口に占める比率が高く、社会が活性化されてないことが問題というわけです。
実際に数字で確認してみましょう。
①失業率(2014年)
スイス 4.5%
フィンランド 8.6%
カナダ 6.9%
日本 3.7%
(参考:ドイツ 5.0%)
②公務員の数が労働力人口に占める比率(2013年)
スイス 17%
フィンランド 24%
カナダ 19%
日本 8%
(参考: ドイツ 15%)
①と②の合計値
スイス 21.5%
フィンランド 32.6%
カナダ 25.9%
日本 11.7%
(参考: ドイツ 20%)
BI導入に積極的な国は労働力人口の2〜3割が民間部門に参加していない。そりゃBIという劇薬投入でなんとかしようとするはずです。
これに対して、日本の①+②の数値はOECD加盟国で最低です。
これが日本でBI導入が財政的に難しい理由であると同時に、積極的に導入するメリットが乏しい理由。
ちなみに、月額8万円では高齢者(特に単身世帯)のセーフティネットには程遠いという点は、皆さんご指摘の通りだと思います。端的に言うと、ライターの村上敬氏のコメントのようになるワン。
【追記】
波頭さん、ご丁寧に回答を頂きまして、ありがとうございました。本連載がBIについて考える良いきっかけになりました。残り2回の記事でも勉強させて頂きます。昨日出ていた試算関連で一人8万円という数字が提示されていますね。4人家族だと32万円。負担とのバランスもそこまで非現実的ではない数字のように思います。徐々に移行するんでしょうが。問題は(3)の既得権の話で、記事では行政の反発を取り上げているが、一番気になるのは現在8万円よりもらっている人(多くは年金受給者)が賛成する可能性がないと思うのですが、そこってどういうシナリオがあり得るんでしょうかね?
ベーシックインカムと言いながら、パイが限られるとすると結局大きな変化は高齢者への社会保障費を大きく削減するという非現実的な話になりそうだが、何か違う仕掛けがあるのかというところが一番気になるところですBIが実際に導入された場合には、従来の行政サービス、法規制、経済活動の形が大きく変わると思うので、現在の経済状態をベースにした試算が妥当するのかは微妙かもなあと思いました。
例えば、BIで最低限の生活保障がされるのであれば、最低賃金規制は撤廃すべきように思います。公営住宅等も必要なくなるのでしょう。
頭の体操としては面白いですね。